私は今まで、お花の咲く季節の春と、紅葉がすばらしい秋には、自然に外に足が向いていました。最近はいろいろ忙しく撮影の暇も取れなかったのですが、スケジュールを調整して久しぶりに広島の宮島方面へ足を伸ばしてみました。
宮島はご存知の通り日本三景の一つで世界文化遺産に登録されている島です。海の中に立つ大鳥居を含めた厳島神社の存在感は、戦乱の世を通り抜けてきた悲しい歴史の重みを感じさせるようでした。それだけにお参りしたその時間だけ雨が降ったというのも不思議でないような気もしました。しかしその優美な姿は日本を代表する景観にふさわしく圧倒的でした。
宮島の中にある紅葉谷(もみじだに)公園は紅葉の名所として有名です。今の時期は観光客が1日何万人もすごい勢いで押し寄せてくるので、対岸の駐車スペースがどこにもなく、宮島行きをほとんどあきらめかけていました。しかし私の何気ない一言から予想もしない形で渡れたのは本当に驚きでした。宮島に渡るときは全ての人が車を駐車してフェリーに乗り込むようですが、車ごとフェリーに乗船したのは私たちだけでした。人ごみの間にいるかわいらしい鹿にも微笑みかけ、お話しをしながらゆっくりと一周させていただきました。 天気予報は雨であったにもかかわらず、錦帯橋(※)を訪れた翌日は抜けるような空の青さに思わず手を合わさずにはいれませんでした。錦帯橋沿いのお店の方によると「昨日は寒くて大変でしたが、今日は暖かくて運がよかったですね。」とのことでした。事実青空の中に浮かび上がる錦帯橋の美しさは私の記憶に深く留まるに違いありません。 錦帯橋は日本の三名橋や日本三大奇橋に数えられており、名勝に指定されています。錦帯橋は外観の調和の美と木造アーチにみられる構造の精巧さが魅力の一つです。
続いて紅葉の名所三滝寺と三景園とまわりながら、たくさん撮影させていただくことができました。残念ながら宮島では紅葉の撮影ができませんでしたが、そこ以上の紅葉が私たちを待っていてくれました。宮島での紅葉撮影を目的としていただけにそういう自然の計らいがあることに感謝させていただきました。その写真もまた皆様に目にとまることがあるかもしれません。