No.40
わずかなマイナスも、あなたの心の成長に大きな邪魔になりますよ
平成19年2月28日
みなさん、こんにちは。春名芙蓉です。
先日は、多くの方にお集まりいただいて、私の75歳の誕生日と、私たち夫婦の金婚式のお祝いをしていただきました。パーティの間、ずっと胸の奥から熱いものがこみ上げて、涙が止まらなくなるのをかろうじて抑えておりました。こんな年まで元気で生きているというのが本当に夢のようですし、こうしてファンの皆様と触れ合いができることが、本当にありがたいことです。
私は、「どうしたら、毎日幸せな気持ちでいられるか」ということを、ずっと自分の人生の中から捜し求めてきました。そして、「今の年齢になってこそわかる」ということがいっぱいあります。それを、少しでもみなさんにお伝えしたいと願って、講演会や、ホームページを使って、今でも語り続けております。
「どうしたら幸せな気持ちでいられるか」を求めているうちに、「幸せな気持ちが消えるのは、こんな時だな」と気がついたことがありました。ひとことで言えば、自分の心の中に「マイナスの意識」が入ると幸せな気持ちが消えるんですね。「マイナスの意識」が心に詰まって、苦しくなって、幸せな気持ちが消えるんです。
以前、「日常生活の中に心を高める道具はいっぱいある」というお話しをしましたね。「毎日の生活の中で、どんなことがあっても心を動かさない、マイナスの意識を持たないことが大切だ」とも申し上げました。ただ、「マイナスの意識を持たない」といいましても、誰も、自分の心にわいてくるマイナスの意識に気づいていないことが多いんです。
夜も眠れないほど苦しかったり、腹が立ったりするような、岩のような大きさのマイナスなら誰でもわかります。でも、それほど大きくなく、石ころや砂利のような大きさ、あるいは塵やほこり程度の小さな意識になると、ほとんどの人は気づかないまま通り過ぎているのではないでしょうか。普段、何気なくふっと思うわずかな気持ちの中にも、マイナスはひそんでいるのです。
私は若い頃、電車に乗ってある所に通っていました。月に何度か出かけるようなところだったのですが、駅に近づくと、急ぐ心になって小走りに駆け出しそうになるのです。家を出たときには心がうきうきと晴れやかなのに、駅に近づくと、無意識のうちに急ぐ気持ちになって、嬉しい気持ちが消えてしまうのです。
あるとき、そんな自分にはっと気がつきました。そして、「なぜ、心がせくのだろう」と自分に問いかけてみて、「電車に遅れてはいけないと、無意識に心を動かしていたんだなあ」ということを知りました。そして、「一便くらい電車に乗り遅れても差し支えないのに、心が動くんだなあ。せっかく嬉しい気持ちで出発したのに、そんなことで嬉しい気持ちを消してしまうなんて。私にはそんな性格があるんだなあ」と、つくづくと思いました。それから以後は、急ぎ足で駅に向かうことはなくなりました。特別に急ぐ場合には、歩く足は速めても、決して心はせかさないように心がけるようになりました。
私は若い頃から自分を見つめる癖がありました。「時間に間に合わないんじゃないか」とか、「道で、苦手な人と出会うと嫌だな」と気にしたり、先のことを考えて不安になったり、「誤解されて人から悪く思われないだろうか」と気になる心など、毎日の生活の中で無意識に心を動かしていることがいっぱいある自分を知って、「なんて気が小さい自分なんだろう」と情けなく思いました。大人になって、「こんな心理は誰にでもある」ということを知ってほっとしましたが…。
でも、今から思えば、「それは、『自分を見つめる癖』というようなものではなくて、自然から教えていただいていたことだったんだなあ」と思えます。
みなさんもそんなことがありませんか。「心がわずかに動くくらいのことは、仕方がない」と思うかもしれませんが、そのために喜びが消え、自分の心が締め付けられてしまうのは、つまらないですね。
自分の心の中だけで収めることができる場合なら切り替えやすいのですが、人が関わってくると簡単ではありません。たとえば、人のことや仕事のことなどが気になっているとき、ただ気にしているだけではなくて、そこに、必ずといっていいほど、マイナスが潜んでいます。相手に苦情を言いたい気持ち、何かのせいにして自分をかばいたい気持ちなどがあって、何かを気にしだすと、自分がそんなマイナスを思っていることすらも、気づかなくなってしまいます。もし気づいたとしても、それほど大きなマイナスとは思えないままに通り過ぎてしまっているでしょう。
「わずかなマイナスも、それが人生で積み上がった時には、岩のような大きさになる。その岩のような意識が、みなさんの心の成長にとって大きな邪魔になるんだ」ということも知ってください。そして、そんなマイナスを積み上げないためにも、なおさら、プラスの意識、喜び、感謝の気持ちを持つように努めてみませんか。