No.34
心を動かさず、なったまま、あるがままに生きる
平成18年3月17日

私の住む山里も、雪が解けて、日に日に暖かさが加わってきました。そよ風が運んでくれる土のにおい、草の香りからも春の訪れを感じさせていただけます。春は、心を解放させてくれる季節ですね。

 私は、いろんな方を見ていて、「心をもっと解放させたら、もっと幸せになれるのにな」と思うことがあります。誰にでも、「これはこうだ」という固定した見方があって、それが人の心を縛ってしまうわけですが、そんな見方を切り替えたら、もっと楽に、もっと幸せに生きられると思います。「こうしないといけない」とか、「こうしてもだめだ」とか思うことで、自分を苦しめているんです。人間関係でも、「あの人はどうしてもこうだから…」とマイナスに思って、結局、そのマイナスの意識が自分を苦しめてしまうことが多いものです。

 それをどう変えたらいいのでしょう。
 相手を変えるのではなくて、状態を変えるのでもなくて、「自分の意識をどう変えるか」ということですね。
 「それでいい」と思えたらいいんです。
 「それも、ありがたいことなんだ」と思えたらいいんです。
 相手や状態を変えようとするのではなくて、「自分の意識を変えよう」ということに挑戦したときに、目の前の風景がまったく変わってきますよ
 自分の意識が変わらないまま、何十年も生きているなんて、無意味な人生じゃないですか。

 「困る」という字は「木」が「口」という字に囲まれていますが、それと同じで、誰でも心に囲いがあるから、「困った」と思って苦しんでしまいます。でも、そんな心の柵をとりのぞいたら楽になれます。何かに当たって、「困った、八方ふさがりだ」と思っても、この世で、「八方ふさがり」ということはないと思うんですよ。それを作るのは自分自身の心じゃないですか。
 何かに当たれば、必ず何かの結果が出ます。それが、自分の願ったようにな結果であったかどうかを気にし、もし願ったものと逆であれば、「困った」と思ってしまい、そう思うから苦しくなります。

 私は、「そこに出た答えの良し悪しを、自分が勝手に決めているから、まちがってくるんだな」と思います。自分の思うとおりの答えが出なくても、マイナスに思わず、また次に進めばいいだけなんです。そこで出た答えをもって、自分勝手に、それを「悪い」とか、「やっぱり心配したとおりになってしまった」とか思うから、ますます悪くなっていく。そんな意識の世界にいるから、いつも「困った」としか思えないわけです。だから、プラス、マイナスを勝手に決めないで、心をまっさらにして、やり直しをしてみる。そんな大らかな気持ちが、次の大きな答えを引き寄せることができます。

 良し悪しを判断するとき、必ずといっていいほど、固定観念の束縛を受けているものです。そんな固定してしまった意識の次元にいるから、「困った」と思うことが起こってきます。悪く思える結果が出ても、それは、もっと大きな世界から見たときには、その人にとって自然の愛でいただいた素晴らしい答えかもしれません。私たちは、人間感覚では計り知れない、大きな世界からの働きの中で生かされているのですから、人間感覚の小さな意識で、あれこれと判断するのはまちがっていると思います。

 私は、「心を動かさず、なったまま、あるがままに生きる」ということしか思えないんです。
 「なったが自然」ということですね。
 若いころから、徹底してそうでした。起こってきたことに対して文句を言わない、愚痴を言わない、それに対して人を悪く思わない。
 人が悪いかどうかは、自然が決めることです。
 あれが悪い、これが悪いと思う自分も、自然から見られて、悪くないといえるでしょうか。
 結局、人や状態を悪く思い、愚痴に思うのは、自分がその次元にいるからです。
 いい世界に入っていたら、悪くは思えてこないはずです。
 ですから私は、どんな答えをいただいても、「これも自然の大きな愛が与えてくれた答えかな」と思っていました。

そのように、自分の心が解放され、とらわれのない安らぎの世界に意識を住まわせたら、楽になれます、幸せになります。ひとつ不安になったら、どんどん不安が広がります。それは、心の中にばい菌が増えるのと同じです。
 「私ががんばらなければ…」と、思うこともいりません。がんばる意識の世界にいたら、自然の応援がないから、いつまでたってもがんばらないと動かなくなります。自分ががんばって動くしかない世界に、閉じ込められることになるんです。

 だから、「心の解放ということが、いかに大切か」と思うんですね。
 ただ、それは自分を甘やかす解放ではありません。自分勝手な解放なら、とんでもないところに、転がり落ちていくから怖いです。解放という言葉を使うなら、そこに愛がなければ、本当の解放にはならないと思います。自然から見ていただいたときに、自分に対しても、人に対しても、自然に対しても、愛と感謝の伴ったものが、本当の意味での「解放」だと思うんです。
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